【分かりやすく解説】中小企業BCP策定運用指針とは?情報資産を守るポイントを解説

目次
      1. 【分かりやすく】BCP(事業継続計画)とは?
      2. BCPの策定状況は?
      3. BCPを策定する3つのメリット
      4. 中小企業BCP策定運用指針に基づいた盛り込むべき内容とは
      5. BCP導入に関しての注意点
      6. ITシステムにおけるBCP対策
      7. まとめ

 


昨今、新型コロナウイルスの影響により、従来通りの業務遂行が困難だった企業も多いのではないでしょうか。日本では、地震や台風等の自然災害が頻発化していることもあり、事業継続のリスクは増大していると考えられます。このような事態に備えるためにも、BCP(Business Continuity Plan)を始めることが大切です。
中小企業は一般的に経営資源に乏しいため、大きな災害に見舞われたときに復旧が長期化したり、場合によってはそのまま廃業に追い込まれてしまったりすることもあります。BCPを計画しておくことで、被害の最小限、早期の復旧が可能となります。今回はBCPの概要、策定におけるメリットについて、ご紹介します。

1.【分かりやすく】BCP(事業継続計画)とは?


BCPとは、災害やテロなどの緊急事態が起きた際、被害を最小限に押さえて中核となる事業を継続・早期回復させるための方法を事前に想定しておく計画のことです。平常時から緊急事態に備えて事業継続計画を策定しておくことが重要です。
緊急事態に対して体制を整えておくことは、企業で働く社員を含め会社全体を守ることに直結します。直接的な被害だけでなく、取引先の事業収縮や倒産などの影響を受ける可能性もあるでしょう。
様々な局面を想定し自社の被害を最小限に抑えるためにも、BCPを策定し日々内容を更新していくことが必要です。

2.BCPの策定状況は?


中小企業庁「2021年版 小規模企業白書」によると、企業規模別BCPの策定状況では「策定している」、「現在、策定中」と回答した企業の割合は、大企業が約4割に対して、中小企業は約2割となっており、大企業に比べて中小企業のBCP策定が進んでいない状況が分かります。更に、BCPを「策定していない」と回答した企業の理由としては、BCP策定に関する人材やスキル・ノウハウの不足が最も大きい要素ではあるものの、そもそもBCPの策定に「必要性を感じない」と回答した企業が2割程度存在している状況でした。
出典:「2021年版 小規模企業白書」中小企業庁

このことから、中小企業では人材やノウハウが不足していることに加え、必要性を正しく理解していない企業が一定数存在しており、BCPが十分に浸透していないことがうかがえます。

3.BCPを策定する3つのメリット


BCPの策定は大企業ほど意識が強いことがわかりましたが、BCP策定は企業規模にかかわらず重要です。しかし、通常業務の傍らBCPの策定まで行うとなると手が回らないという企業も少なくありません。メリットがわかれば、BCP策定に積極的に取り組める可能性があるでしょう。

ここでは、BCPを策定するメリットを3つご紹介します。

● メリット①思いも寄らない緊急の倒産・事業縮小リスクに備えられる
● メリット②外部からの信用が高まる
● メリット③中核事業を特定し、整理できる

メリット①思いも寄らない緊急の倒産・事業縮小リスクに備えられる

「事業継続計画」という名の通り、BCPは不足の事態に対応できるよう策定する計画です。
かつて起きた東日本大震災では、災害による大きな被害から被災地の企業が倒産や縮小を余儀なくされました。しかし、全体の9割にも及ぶ企業が、直接的な被災が原因ではなく、取引先や仕入れ先の被災状況の影響で「間接被害型」として倒産したというデータが出ています。
震災関連で倒産した企業は、もともと経営体制に弱みがあり、震災による業績不振が追い打ちをかけたと分析されています。このようなことから、倒産した企業の中には、BCPを策定していれば生き残れた可能性がある企業も含まれていると考えられます。リスク対策ができている企業が、生き残ることができたという見方もできるでしょう。だからこそ、BCP策定は重要なのです。
参考:「“震災から10年” 「東日本大震災」関連倒産状況(2月28日現在)」 東京商工リサーチ

メリット②外部からの信用が高まる

BCP策定ができている企業は、外部からの信頼を得られやすい傾向にあります。なぜなら、外部から「リスクに対してしっかりと取り組んでいる企業」と認識されるからです。外部からの評価は、取引先や株主からの信頼を高めることにもつながります。
取引先を検討する際、リスク管理ができていない企業よりも、BCPを策定している企業の方が、倒産や経営不振といった事態に陥りにくいと評価され、信用が高まる可能性があるでしょう。そのため、BCPの策定は信用度を上げるためにも重要なのです。

メリット③中核事業を特定し、整理できる

BCPを策定するにあたり、まず行わなければならないのは自社事業の業務やフローの見直しです。また、不測の事態が起きた際に優先的に復旧すべき部分を明確にしておかなければなりません。自社やクライアントにとって重要度の高い業務や目的を改めて確認することになるため、自社の強みや改善点も見えてきます。
BCP策定は、不測の事態におけるリスクや事業継続方法を検討すると同時に自社の現状を確認することになるため、一石二鳥だと言えるでしょう。

4.中小企業BCP策定運用指針に基づいた盛り込むべき内容とは


中小企業BCP策定運用指針(中小企業庁)は、BCP策定について以下のポイントを挙げています。

【BCP策定におけるポイント】
1. 優先して継続や復旧するべき中核事業を特定する
2. 緊急時に中核事業の目標復旧時間を定めておく
3. 緊急時に提供できるサービスについて予め協議しておく
4. 設備、仕入品調達などの代替策を用意しておく
5. 従業員と事業継続についてコニュニケーションを図っておく
参考:「中小企業BCP策定運用指針」中小企業庁

まずは、BCPの基本的な方針を掲げ、計画の立案や体制を整えてください。日常的に運用し、日々見直しながら改善していくことで洗練されたBCPが策定できていくため、不測の事態にも対応することが可能となります。

5.BCP導入に関しての注意点


BCP策定に際しては、3つの注意点があります。

1つ目は、「完璧なものを作ろうとしないこと」。不測の事態に関し、幾ら様々なケースをBCPに盛り込もうとしても、想定の範疇には限界があり、完璧にうまくはいきません。とはいえ自社に合ったBCP導入をする必要があるため、まずはひとつのBCP対策を完成させるという段階的なゴール設定をすることも効果的です。完璧なものを初めから作成しようとして挫折することがないように、自社の課題を確実に洗い出しながらスモールステップで進めていくことが大切です。

2つ目は、「実行基準と体制を明確にすること」。折角コストを割いてBCPを策定しても、必要な時に実行させられない、発動タイミングを誤っては企業の損害につながりかねません。また、BCP実行に必要な人材がどんな時にも確保できるよう、体制を整えておく必要もあります。BCPを導入しても適当なタイミングと体制で機能しなければ無駄になってしまうため、注意しましょう。

3つ目は、「教育」です。BCP策定が完了しても、社内で周知・理解が進まなければ本末転倒です。不測の事態が起きても社員全員がBCPに沿って動き、混乱が生じない状況が理想的です。完成したBCPを社内で共有し、問題が起きた際の動き方やポリシーについて教育する必要があります。

6.ITシステムにおけるBCP対策


BCPにおいて考える重要な要素の一つに「ITシステム」があります。現代ビジネスの多くはITにより支えられていると言っても過言ではありません。BCPにおいても、ITシステムの利用継続や早期復旧は重要な意味を持ちます。
また、近年ではサイバー攻撃や情報漏洩といったトラブルが増え、自社のITシステムを守るための計画は必要不可欠です。ITシステムが扱うデータの中には顧客情報などの機密情報が数多く含まれています。BCP対策において、緊急事態に備えなければならない要素の一つです。
具体的なBCP対策の一つとして、定期的なデータのバックアップとバックアップの安全な保管があります。災害が発生しても、離れた環境にパックアップデータがあればシステム環境の復旧が可能になります。復旧作業に備えてリストア手順の定義や、定期的なリスト業務確認も不可欠です。安全に保管されたバックアップデータを用いてスムーズにリストアすることでダウンタイムを抑え、事業を継続できます。
情報漏洩や顧客データの紛失は事業運営において大きな損失を招くだけでなく、取引相手からの信頼を失墜しかねません。このようなリスクを回避するためにも、IT分野でのBCP策定は重要です。

7.まとめ

今回は、BCP作成の目的やメリットについて詳しくご紹介しました。BCPは事業継続計画のことであり、災害やテロなど不測の事態が起こった場合に被害を最小限に抑えるために策定します。不測の事態が起こったとき、可能な限りの早期復旧を実現することがビジネス存続の要となります。
BCPを策定する場合は、まずは骨子となる計画を立案し日常的に運用する中で課題点と解決方法を検討し、ブラッシュアップしていきましょう。最初から完璧を目指すのではなく、徐々に精度を上げていくことが大切です。

BCP対策においてデータのバックアップは重要です。そこでおすすめするのがクラウド化によるデータ保存です。可用性に優れたクラウド環境を活用することで、企業のBCP対策はより強固なものとなるでしょう。是非一度弊社のクラウドコンサルティングにご相談ください。

 


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