【システム開発の内製化】失敗しない体制づくりと中長期的な計画が重要!

目次
      1. 内製化とは
      2. 社内システムの開発・運用を内製化に踏み切れない
      3. システム開発を外部に丸投げしていた場合の課題点
      4. システム開発を内製化する際の5つのメリット
      5. システム開発を内製化する際の5つのデメリット
      6. システム開発の内製化に必要なポイント3つ
      7. まとめ

 


企業が事業を継続・成長させるためにはさまざまな手法があり、中でも内製化は、昨今非常に注目されています。内製化を組織内で進められれば、長い目で見た際に大幅なコストカットや社内でノウハウの蓄積が可能です。
本記事では、特にシステム開発を外部に委託している企業に向けて、内製化とは何か、内製化を行うとどのようなメリットデメリットがあるのか解説します。システム開発の外注コストが気になり始めた企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

1.内製化とは

内製化(insourcing)とは、外部に委託していた業務を、自社内のリソースで行うことを指します。例えば、経理業務の一部を外部に委託していた場合、その業務を自社の設備や社員などのリソースを活用して完結させることなどです。
経理業務だけでなく、製品開発や集客、システム開発・運用などさまざまな業務を自社リソースを活用して行うことも内製化です。内製化を行う大きなメリットは、中・長期的に考えるとコストカットに繋がり、組織内にノウハウが貯まること。中小企業だけでなく大手企業でも内製化は行われています。

対義語は、外製化

内製化の対義語は、「外製化」(outsourcing)。自社内で行っている業務について、規模を問わず外部へ委託することです。ノンコア業務をアウトソーシングや業務委託などで外部組織や個人へ依頼すると、短期的に見ればコストカットに繋がり、社内のリソースをコア業務に向けられるというメリットが得られます。
しかし、専門的な業務を依頼するとさらに費用がかかるケースも少なくなく、社内の情報漏洩リスクや専門的なノウハウが貯まりにくいというデメリットが生じる場合もあります。

2.社内システムの開発・運用を内製化に踏み切れない

外部からの引き継ぎ工数や社内リソース、内部の技術力などさまざまな要因で社内システム開発・運用の内製化に踏み切れない企業も少なくありません。これまでは、数あるSIer企業が存在する、またIT技術の進化が早いこと等から、IT業務については内製化よりもアウトソースが主流となり、社内システムの開発や運用はIT関連企業に委託することが多い傾向にありました。
社内にシステム開発や運用に精通したメンバーが十分にいる場合は、内製化した方がスピード感を持って進められ、追加開発も比較的容易でしょう。ただし、そのような人材が確保されている企業は多くありません。社内システムの内製化は多くの企業が持つニーズですが、課題点を考えるとなかなか踏み切れないのが現状です。

3.システム開発を外部に丸投げしていた場合の課題点

ここからは、システム開発を外部に丸投げしていた場合の課題について解説します。

1. 開発や改修にかかる時間とコスト
2. アウトソースでは臨機応変に対応ができない
3. 内部にノウハウが蓄積されない

内製化したい業務を外部委託している企業の方は、今一度課題を把握し、今後の動きの参考にしてください。

開発や改修にかかる時間とコスト

外部の組織や個人に依頼するとシステムの開発や改修に時間と金銭的コストがかかります。業者選定や依頼を明確にする要件定義、依頼確定からの追加依頼の費用、進捗管理などの外注管理で依頼前〜依頼後までにリソースを割かなければなりません。さらに、専門性の高い分野になると、費用が高くなるケースもあり、イニシアチブを握られこちらの都合を押し通しづらくなる場合もあります。
専門性の高い分野の知識や技術は一朝一夕で身に付きませんが、内製化に成功できれば、競争力強化やコストカットにも繋がり、柔軟な対応が可能となるでしょう。
外部へ委託しても、自社で外注の管理を行わなければならず、全て丸投げで業務が完了する訳ではありません。結果として、時間を割き、コストが高額になるケースも多くあります。本当に外注するべき部分なのかどうか、外注先の選定を含めて慎重に検討しなければなりません。

アウトソースでは臨機応変に対応ができない

業務をアウトソースする場合、臨機応変に対応できないという課題があります
自社で行っている業務であれば、顧客から急な支援を求められたりクレームが発生したりした場合、内部の空きリソースの調整や一時的な残業で乗り切れることも少なくありません。
一方、製品開発や業務を外注している場合、契約に基づく対応がベースとなるため融通が利かず、外注先に残業を強制するわけにもいかないでしょう。急ぎの場合は特急料金をプラスして行えば良いと考えられるかもしれませんが、その対応は契約上難しいため断られる可能性があり、柔軟な対応が難しくなりかねません
こうしたことから、急な事情でイレギュラーな対応を求めるなら、外注先と日頃から綿密なコミュニケーションを取り、信頼関係を構築することも大切です。

内部にノウハウが蓄積されない

外部に丸投げをしてしまうため、内部にノウハウが蓄積されないという問題もあります。業務を進める過程で得られる専門的な知識を学ぶ機会が減り、完成品のみの納品となるため、自社従業員の技術向上や成長に繋がりません。
最悪の場合、システムがブラックボックス化してしまい、外部委託先に常に依存してしまう状態になることもあります。外注先との依存関係を回避・軽減するためにも、定例会の開催等による情報共有の場を設けることが大切です。

4.システム開発を内製化する際の5つのメリット

続いて、内製化を行う際の5つのメリットをご紹介します。

1. トータルコスト削減
2. 長期的な自社の強み
3. 迅速な対応スピード
4. 直接開発に携わることができる
5. 機密情報の漏洩リスクの低減

1.トータルコスト削減

システム開発の内製化を進めると、中長期的に見た場合、ナレッジの蓄積や社員の技術向上により、外注した場合より生産性が上がり、トータルコストを削減できる可能性があります基本的には外部に委託した方がコストはかかりませんが、内製化するべき分野かどうか検討することは大切です。

2.長期的な自社の強み

長期的に見て、自社の強みを活かせる開発業務を内製化することも大切です。自社の強みを内製化できると、競合他社との差別化に繋がり、市場において優位性を獲得することに繋がります(コアコンピタンス)。例えば、Web集客力をコアコンピタンスとする組織であるにもかかわらず、製品開発等にリソースを割いてしまうと、効率的ではありません。
業務の特徴と自社が強みとする分野をよく把握し、どの業務で内製化を行うかあらかじめ決めておきましょう。

3.迅速な対応スピード

システム開発の内製化を進めることにより、急な依頼にも対応することが可能になります。
外部委託では連絡にかかる手間や、契約に至るまでの時間も要します。しかし内製では内部連携のため進行・スケジュール管理に手間がかからず、ノウハウも蓄積されているため、緊急時にも迅速に対応することが可能です。優先度が急に上がった業務にもスピード感を持って取り組めるというメリットがあります。

4.直接開発に携わることができる

内部のリソースを活用して、直接社内システムの開発に携わることができるのも大きなメリット。社内の従業員が直接開発に携われればシステムのノウハウを蓄積ができ、業務の引き継ぎもスムーズです。
内部で詳しい人材がいると、システムの追加開発にも活かせるため、今後社内システムの運用を発展させたい企業には効果的だと言えるでしょう。

5.機密情報の漏洩リスクの低減

システム開発の内製化により、機密情報の漏洩リスクを低減することも可能です。委託先に業務をアウトソーシングしていると、顧客情報や仕入れ先リスト、住所録など重大な秘密が漏れてしまうリスクが否定できません。
経営に携わる情報は関わる外注先が増えれば増えるほど漏洩リスクが高まります。システム開発の内製化により社内に情報を留め、外部に情報を渡す機会を減らすことができるため、機密情報漏洩のリスクを低減できるのです。

5.システム開発を内製化する際の5つのデメリット

システム開発の内製化にはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあることを把握しておきましょう。ここでは、内製化を行う際の5つのデメリットについて解説します。

1. 初期投資による導入コストが大きい
2. 教育のための準備時間がかかる
3. 専門の開発者がいなくなると誰も分からない
4. 技術進化に対応するためのコストが大きい

1.初期投資による導入コストが大きい

システム開発の内製化は初期投資にかかる導入コストが大きいケースがほとんど。設備や備品を揃えたり、社内リソースを把握したりするなど、業務に取り掛かるまでの準備が必要です。さらに運用していく場合、労力や時間も多く必要になるため、体制が整うまでに期間がかかります
ただし、内製化がうまくいけば、外部委託コストの削減に繋げられるため、導入のハードルさえ乗り越えられれば、長期的に見て組織に良い影響を与えられるでしょう。

2.教育のための準備時間がかかる

開発ノウハウがある人材がいたとしても、教育に時間をかけなければならないことが少なくありません。別業務の担当者を新業務に充てる場合、従業員の教育を行い、必要となる知識や研修を通してノウハウを取得してもらう必要があるでしょう。
全く知見のない社員に教える場合、習得するまでにかなりの時間がかかる可能性もあります。内製化を進めるのであれば、教育のために準備期間が必要であることを理解しておいてください。

3.専門の開発者がいなくなると誰も分からない(ブラックボックス化)

専門の開発者がいなくなってしまうとシステムがブラックボックス化し、組織に知見が残らない状態になることが少なくありません。新規で知見のある人材を募集しても、すぐに辞められてしまえば社内に開発ノウハウが貯まりませんし、募集にかけた費用や支払う人件費が無駄になるでしょう。
開発者を雇用している場合は、知見が貯まるように適宜ミーティングを設定したり、次の担当に引き継げるよう資料を作成したりするなど、組織として取り組むことで、属人化を避けることが重要です。

4.技術進化に対応するためのコストが大きい

IT業界は新たな技術・サービスが次々と生まれており、陳腐化するスピードが非常に速いです。そのため、時間をかけて内製化により修得したITスキルが、習得を終えたころには古い技術になっている、ということもあり得ます
常に新しい技術に対応していくためには組織としても相当な体力が必要であり、この点が組織としてもシステム開発を内製化する際のジレンマとなっているのです。

6.システム開発の内製化に必要なポイント3つ

ここからはシステム開発の内製化に必要なポイントを3つご紹介します。

1. 体制作り
2. スキル開発
3. プロジェクト管理

1.体制づくり

システム開発の内製化を進める際に大事なポイントの1つは体制作りです。体制作りとは、システムを開発した後でも保守・運用を永続的に続けられる状態にすること。具体的には、以下の要素が必要です。

● 社内のナレッジの蓄積
● 従業員教育
● 透明性の高い評価システム

誰かが抜けてしまった場合や仮に知見のない人が入ってきた場合でも業務が遂行できる組織を構築しなければなりません。そのため、まずは社内で運用できる人材が揃っているのか、ノウハウはあるのかなど準備に必要な要素を確認しておきましょう。

2.スキル開発

続いて、従業員のスキル開発も、内製化に必要なポイントです。
自社にシステム開発に対するスキルを持つエンジニアが既に一定数いれば内製化の希望が持てますが、そもそもそのような人材がいない場合、内製化は困難です。とはいえ、自社の開発用件に合ったスキルを持つエンジニアを確保・採用することは容易ではありません。
そこでおすすめできるのが、外部の人材育成研修などを活用し、従業員のスキルを開発することです。スキルを開発する体制構築を外部に委ねることで、効率的に人材を育て、内製化を目指すことができます。

3.プロジェクト管理

プロジェクト管理もシステム開発の内製化に重要なポイント。システム開発をするには、チームをまとめるマネージャーが必要であり、システム開発や運用体制を定期的に見直し、体制自体をメンテナンスしていかなければなりません。
マネージャー経験のない担当がポジションに就いた場合、進捗の滞りや完成品に不具合が出るリスクが高まります。そのため、プロジェクト管理経験がある人材を採用し、プロジェクトの立ち上げから推進を任せ、運用や保守のサポートの体制を作ることが大切です。

7.まとめ

内製・外製、どちらにもメリットとデメリットがあり、常にこの選択の方が良いということはありません。大切なことはどちらのメリット/デメリットも理解して、効果的に活用することです。

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