【中小企業のDX推進はなぜ?】4つの必要な理由と4つの課題をご紹介

目次
      1. DX (デジタル・トランスフォーメーション)とは何?
      2. DXとIT化の違いとは?
      3. 実際にDXに取り組んでいる割合は?
      4. 中小企業はなぜDXが必要なのか?
      5. 中小企業のDX における4つの課題
      6. 中小企業のDXにおける3つの課題の解決方法
      7. まとめ

 


昨今、IT化が進んできたことで、DXの注目度が高まってきました。

事業継続力を高めるためにはDXの実施は必須とされており、クラウドサービスを活用したデジタル化から取り組みを始められる企業様も増えています。
今回は、中小企業がDXを推進する理由と今後の課題についてご紹介します。企業力を向上したい企業の方、DXにおける戦略化やビジネス改革の解決策に困っている方はぜひ参考にしてください

1.DX (デジタル・トランスフォーメーション)とは何?


DXとは、デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語で、ITの浸透が生活やビジネスをより良い方向へと変化させることを指します。抽象的な概念のために様々な解釈がなされていますが、企業におけるDXの定義としては、経済産業省が定義する以下のような解釈が一般的ではないかと考えます。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
参考:経済産業省:「デジタルガバナンス・コード2.0」

簡単に言うと、「デジタルの技術を活用して、他企業との差別化を図ることで、競争上の優位性を確立する」ことです。
近年では、あらゆる産業領域においてデジタル技術を積極的に取り入れ、新しいビジネスモデルを展開しながら市場参入してくる企業が増えています。企業がこのようなビジネス環境の変化に対応し企業競争力を維持するためには、早期にDX推進に取り組み変革を加速させることが求められているのです。

2.DXとIT化の違いとは?


DXとIT化は似たような概念として捉えられ混同して使われている場面も少なくありません。しかし、DXに取り組むためにはDXとIT化の違いを正しく理解しておくことは重要です。

IT化とは、コンピューター技術やインターネット技術などのデジタル技術を有効に利用して既存の業務プロセスを強化することです。IT化を進めることで業務効率が上がり、結果として生産性の向上が期待されます。IT化とは業務のデジタル化により生産性向上のような量的な変化を目的とした取り組みを意味します。

一方、DXとは、デジタル技術を利用したサービスや仕組みを浸透させることにより業務の在り方を変化させることです。DX推進により、業務プロセスの変更を促し、ビジネスモデルそのものを変革させていきます。つまり、DXとはデジタル技術を活用して顧客体験やビジネスモデルの変革のような質的な変化を目的とした取り組みを意味します。

3.実際にDXに取り組んでいる割合は?

DXへの取り組みの割合は、大企業と中小企業の間で大きな格差があることが、さまざまな調査データで明らかにされています。
中小企業は、DXへの取り組みを加速させることが重要な課題と考えられます。


引用:内閣府:「令和3年度経済財政白書」

令和3年度経済財政白書によると、大企業では「計画策定中」を含め全体の64%が現在DXへの対応中であるに対して、中小企業では「検討中」を含めても38%に留まっているという調査結果が報告されています。
中小企業においては、約半数の企業がDXへの取組みが全く手つかずの状態であることも注意が必要です。DXへの取組みが遅れた企業は、市場競争力を失い競合に市場を奪われる可能性が高まる危険性があります。

DXは企業が市場で勝ち残るためには避けて通れない重要な取組みなのです。

4.中小企業はなぜDXが必要なのか?


中小企業でDXが必要とされる理由は以下の4つです。

1. 業務効率化・生産性の向上が期待できる
2. 顧客ロイヤルティが向上する
3. BCPの拡充につながる
4. 企業の競争力・事業継続力を得るため

DXへの関心が社会全体で高まり、大企業においては取組みが加速しつつあります。
しかし、中小企業ではDXへの理解はまだ不十分です。IT化において大企業から遅れをとった中小企業はこのままではDXの流れに取り残されてしまい、市場から撤退を迫られる危険性があります。
ここでは、中小企業がDXに取り組むべき理由について解説します。

①業務効率化・生産性の向上が期待できる

これは主にデジタル化の段階から言えることですが、業務効率化を図る必要があるからです。
デジタル技術を用いることで効率の良いデータ収集や分析で早期に正確な結果の入手が可能となり、業務の効率化による一人当たりの生産性の向上が積み重なって組織全体の生産性向上にも繋がります。
また、デジタルでの管理が可能となるため、コスト削減にも最適です。社員の作業コストを軽減させることも可能で、働きやすい作業環境へと変革できるでしょう。

②顧客ロイヤルティが向上する

DXを実施することで今まで実現できなかった顧客体験を提供することが可能となり、顧客とのエンゲージメントの強化を通じて顧客の維持、または顧客ロイヤルティの向上が可能となります。
例えばAIを用いることで、より客観的な視点で課題を整理し、サービス品質の向上に繋げられます。

③BCPの拡充につながる

DXを実施することで、BCPの拡充に繋がります。緊急度の高いシステム異常があった場合に備え、多くの企業ではビジネスの早期復旧を図るためBCPを策定しています。
しかし、近年コロナ禍のように想定とは異なる状況が発生し、BCPが万全ではないことが明らかになりました。コロナウィルスの流行に直面して企業が迫られたのは、リモートワークへの転換や訪問しない営業形態などの業務変革でした。DXを推進することはBCPを拡充し企業存続のための重要な取組みなのです。

④企業の競争力・事業継続力を得るため

DXは企業が競争力を得るためには欠かせない要素であることが最後の理由になります。
事業を維持するためには、競合他社との差別化を図り、ビジネスモデルをより良いものに変革させ、競争に打ち勝たなければなりません。
今日のデジタル技術には目覚ましい進化があります。デジタルデバイスの発達と普及により、企業と消費者の接点でデジタル化と多様化が急速に進んでいます。
そして、あらゆる活動がデジタル上で行われるようになり消費者の行動情報が膨大なデジタルデータとして入手可能になりました。この膨大なデジタル情報をビジネスに活用できるかどうかが企業の競争力の差となります。
つまりデジタル技術を有効に使い連携させることで、新たなビジネス価値を生み出すビジネスモデルの変革へと推し進めることこそ、事業継続力となるのです。

5.中小企業のDX における4つの課題


コラム冒頭の説明にある通り、中小企業ではDXに取り組めていない、またはDXを認知していない企業がほとんどです。実施できていないことにはいくつかの原因があるとされており、主に以下の4つが挙げられます。

1. 経営層(役員レイヤー)がDXに魅力を感じていない
2. 社内にIT人材がいない
3. 従業員がデジタル製品を活用できない
4. DXの予算がない

①経営層(役員レイヤー)がDXの魅力を感じていない

DX化における課題として、経営層または上層部の役員が魅力を感じていない可能性があります。DXによるビジョンが見えなければ、必要性について考えないでしょう。
もしくは、デジタル化におけるメリットが感じられていないのかもしれません。業績が悪化しているならば改善策としてDX化の実施する可能性がありますが、現状を維持できていれば変化をリスクに感じているとも考えられます。

②社内にIT人材がいない

社内のIT人材が不足しており、DXを推進していくことが困難である課題があります。
日系企業ではIT人材の多くがSI企業に集中しており、ユーザー企業内でのIT人材確保が遅れていることが問題視されています。
DXを推進しようとする場合、業務を理解したうえでのデジタル化が不可欠です。そのため、企業内でIT人材を採用・育成することは、DX推進において重要な課題と言えるのです。

③従業員がデジタル製品を活用できない

DX推進にあたっては、従業員がデジタル製品を活用できることが前提条件となります。
しかし、以下のような理由から、従業員がデジタル製品を活用できないケースが少なくありません。

  • 従業員のITリテラシーが低い
  • トップダウンでの推進でなく現場任せのため、従業員が既存のやり方を変えない

このような状況を打破しDXを実現するためには、経営層が従業員を巻き込んで組織的なデジタル化を推進することが必要です。例えば、従業員に対するITリテラシー教育実施、マニュアル整備などにより、デジタル製品利用のハードルを下げることなどが課題解決方法として挙げられます。

④DXの予算がない

デジタル製品・サービスの導入・運用にはコストがかかります。中小企業では特に、DX推進に予算が十分に確保できないケースも少なくありません。
また、長い運営歴のある企業に多い事例ですが、レガシーシステムにおける維持費がかかりすぎているケースも多いです。最新機器を導入していくことにリスクを感じてしまい、DXに予算を移行できないことも課題としてあります。

6.中小企業のDXにおける3つの課題の解決方法


ここからは、今後DXを推進していくための課題解決方法を3つの場合に分けてご紹介します。

1. DXへの着手が遅れている場合
2. DXが上手く進められていない場合
3. 既存システムでビジネス改革ができていない場合

ご紹介してきたDXの課題と合わせ、自社の状況に合わせた課題解決方法を実践していくための参考にしてください。

①DXへの着手が遅れている場合

DXへの着手が遅れている場合は、まずは経営層がDXの必要性を把握することが重要です。業績が好調である、または維持できている企業であるほど、DXに取り組む必要性を実感できていないケースが少なくありません。
企業組織全体でDXを実現していくためには、DXにより何が変わるのか、企業のビジョンとも照らし合わせながら必要性を認識し、着手に向けてトップダウンで判断を下していくことが大切です。

②DXが上手く進められていない場合

DX推進を決断したものの上手く進められていない場合は、現状の把握・分析が不十分、あるいは自社が目指すべきゴールが明確になっていない可能性があります。
その場合、改めて「なぜDXを推進しようとしているのか」というゴールを社内で共有することが大切です。その上で、DX推進のために社内で何が足りていないのか分析し、対策を講じる必要があるでしょう。

例えば、自社サービスにおける顧客満足度やデータ管理の自動化により、従業員を別業務に充てることで自社ビジネスをどのように効率化できるのか、といった具合に具体的に共有することが大切です。

ただしDXの目的は、業務の効率化だけではありません。競合他社との差別化を図るために行うべき施策について検討し直すことも必要となります。

③既存システムでビジネス改革ができていない場合

DXにより業務改革を試みることはもちろん大切ですが、足元の既存システムについてフローを見直し、リソースの配分が適切かどうか分析することもDXの第一歩として大切です。そうすることで、既存システムでビジネス改革ができていないことに気づくことができ、全社的にDXの必要性を認識することにも繋がるでしょう。

優先度の高い課題を解決するためのアイデアや、新しい技術が十分な効果を発揮するか・実現可能か確認するためには、PoC(Proof of Concept)という手法で検証してみることも効果的です。PoC手法を採用することで予算を抑えながら色々なアイデアを試してみることも可能となります。

7.まとめ

今回は中小企業のDX推進がなぜ必要であるのかご紹介しました。

デジタル技術を駆使してビジネス変革へ活かしていくDXは、今後企業が生き残っていくためには不可欠だといえるでしょう。つまりDXへの取組みが遅れた企業は市場競争力を失い、競合に市場を奪われる可能性が高まります。
しかし、DX推進をしようにも何から手を付けていいかわからない方も多いかと思います。

そのようなお客様がいましたら、弊社のクラウドコンサルティングにご相談ください。DXの実現に向け、まずは初めの一歩から伴走致します。是非お気軽にお問い合わせください。

 


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