目次
|
コロナ禍以降、導入企業が急増しているテレワークですが、通勤にかかっていた時間も無くなり、プライベートな時間も取りやすくなるなど、多くのメリットがあります。
しかし当然メリットばかりではなく、様々なデメリットがあるため、企業はその課題をクリアする必要があります。
今回は、テレワークの課題を詳しく解説。メリット・デメリットだけでなく解決策もご紹介しますので、テレワーク導入に当たってぜひ参考にしてください。
1.テレワークとは
テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方のこと。働く場所によって在宅勤務(自宅利用型テレワーク)、移動中や移動の合間に行うモバイルワーク、サテライトオフィスやコワーキングスペースなどを活用する施設利用型テレワーク、リゾートで行うワーケーションなど様々な種類があります。
東京商工リサーチが実施した第23回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(2022年8月18日)の結果によると、「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、在宅勤務・リモートワークを実施していますか?」という質問に対し、資本金1億円以上の企業(1,045社)の回答では「現在、実施している」が60.86%、「新型コロナ以降に実施したが、現在は取りやめた」が23.25%という結果がでています。外部環境に合わせ、自社の業務形態を柔軟に変えながらも、多くの企業でテレワークを活用していることがわかりました。
(出典)東京商工リサーチ「第23回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220818_01.html
2.テレワークの5つのメリット
企業がテレワークを導入するメリットは様々です。今回は代表的な5つのメリットについてご紹介させていただきます。
【テレワークのメリット】
● ワーク・ライフ・バランスの向上
● 生産性の向上
● BCP対策
● 人材の確保
● コスト削減
テレワークの導入は、社員と企業双方にメリットをもたらします。ここでは、5つのメリットについて詳しくご紹介します。
ワーク・ライフ・バランスの向上
企業で働く従業員にとって、テレワークで得られるメリットの一つとしてワーク・ライフ・バランス向上が挙げられます。
ワーク・ライフ・バランスとは、直訳すると「仕事と生活の調和」を意味します。
内閣府が定めた「仕事と生活の調和憲章」によると、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会とは「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義されています。
例えば、育児や介護の必要がある従業員が仕事を継続しやすくなるためには、私生活と仕事の両立を可能にすることが不可欠です。
厚生労働省が公表している「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」によれば、テレワークを利用することで約半数の人が家族と過ごす時間や育児にかけられる時間が1時間以上増加したと回答。この結果からも、テレワークの導入がワーク・ライフ・バランスにいい効果を与えることが分かります。
弊社でもリモートワークを活用していますが、通勤時間の削減などにより自由な時間が増えたことで、育児や介護、プライベートの選択肢が増えたことを実感している従業員が多いようです。
●参考:内閣府 「仕事と生活の調査」推進サイト
https://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html
●参考:厚生労働省「テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック」
https://roumu.com/pdf/nlb0787.pdf
生産性の向上
在宅勤務になることで、作業に集中しやすい環境で仕事を進められる、というメリットもあります。
会社で仕事をしていると、「作業に集中していたのに上司や同僚の方から話しかけられてしまう」、「雑音や話し声が気になり集中力を欠いてしまった」等の理由で仕事が捗らないといったこともあるのではないでしょうか。
テレワークとなることで、自分で仕事の環境を選択することができ、人目を気にせず落ち着いて仕事を進めることが可能となり、ひいては生産性向上が見込めます。
BCP対策
テレワークの導入は、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策にもなります。
新型コロナウイルスをきっかけに普及した在宅勤務やオンライン商談のためのIT投資は、企業が外部環境の変化に適応し、事業を継続するために生じたデジタル化といえます。それらテレワーク導入による事業活動の継続は、今後も災害等で出社が困難な場合にも、生産性の低下といった被害を軽減させます。
こうしたことから、事業の継続性という観点において組織的なテレワークの取り組みは有効です。
人材の確保
人材の確保も、テレワーク導入のメリットです。
若手人材の採用で課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。
テレワークやオンライン面談の環境が整備されていれば、地理的な問題にとらわれずに採用の幅を広げることができます。
また、現在は時短勤務の従業員もテレワークを利用することでフルタイムでの勤務が可能となるかもしれません。
テレワークの導入により場所や時間に囚われない多様な働き方が実現できるため、出産・育児・介護・配偶者の転勤などと言ったライフステージの変化による離職の軽減につながるでしょう。企業にとっても優秀な人材を確保できるのは大きなメリットです。
コスト削減
テレワークの導入によって、企業は事業運営における様々なコストの削減が見込めます。例えば、「家賃」「光熱費」「通勤手当」「設備代」などがそれに該当します。
もちろん、テレワークの導入に向けて、システム投資やルールの策定等にある程度のコストはかかるため、一概にはコストが安くなるとは言い切れません。しかし、今後の働き方に合わない資産を見直すきっかけにもなり、より健全な事業運営に繋がるのではないでしょうか。
3.テレワークの5つのデメリット
テレワークの導入には、メリットばかりではなく、デメリットがあることも知っておかなければなりません。まだまだ改善しなければならない点もあり、具体的には以下のような課題があります。
【テレワークのデメリット】
● コミュニケーション不足
● 作業効率低下
● 情報漏洩リスク
● 勤怠管理の難しさ
● 体力・メンタルの低下
ここでは、デメリットの詳細と改善策についてご紹介します。
コミュケーション不足
テレワークでは、出社勤務と異なり社員同士が直接顔を合わせる機会が減るため、コミュニケーションを取りにくいことがあります。
例えば、部下が上司に相談できない中、上司も部下の悩みに気づけず、課題を抱え込んでしまうことも少なくありません。雑談の機会も減り、ちょっとした悩みを相談できずに業務に支障が出てしまうケースも出てくるでしょう。
例えば、サテライトオフィスの活用や定期的なテレビ会議ツールによる交流会の実施により社員同士が交流できる環境を整えるなどの対策が重要になります。
作業効率の低下
テレワークでは、必要な資料をすぐに手渡せないことなどにより、決済や契約締結などの事務作業が滞ってしまう可能性があります。また、周囲の目がないだけにオンオフの切り替えが難しいと感じる人も少なくありません。業務以外のことに気が散ってしまう可能性もあるでしょう。
ただ、事務作業の停滞については紙ベースの作業をクラウド化・ペーパーレス化することで解決できる可能性があります。また、毎朝簡易的な定例会を設けるなどしてタスクや進捗状況を明確にすることで効率的に業務行える環境をつくり、作業効率の低下を防ぐことも効果があります。
情報漏洩リスク
テレワーク最大のデメリットは、情報漏洩のリスクです。記録媒体の紛失、脆弱性のあるアプリ・セキュリティに対する攻撃など、情報漏洩のリスクは多岐にわたります。
こうしたリスクを回避するためには、多様化するサイバー攻撃に対応できるセキュリティ対策を用意し、かつ従業員への教育を徹底することが求められます。
セキュリティ対策はコストがかかることではありますが、情報漏洩は企業の信頼を失う可能性のある重大なリスクです。想定される脅威を特定し、組織として対策に取り組みましょう。
勤怠管理の難しさ
テレワークでは働く姿が見えないため、始業・就業・休憩時間が管理しにくくなります。自己申告制を採用している企業もありますが、正確な勤怠管理ができないと不必要な長時間労働の温床にもなりかねません。
解決策として、テレワーク環境でも利用できる勤怠管理システムの採用がおすすめです。
パソコンのログイン・ログアウトの時刻を記録したり、Web上で打刻したりと客観的な記録を残すことが可能です。また、自動集計によって勤怠管理の業務効率も向上させられます。
体力・メンタルの低下
通勤時間の削減はテレワーク導入のメリットとも言えますが、運動不足の原因にもなります。それまで当たり前だった歩くことや階段の上り下りといった体を動かす機会が減るため、従業員自ら運動する習慣をつける必要があるでしょう。
また、テレワークだと上司に働いている姿を直接見てもらう機会が減るため、頑張っていても気付いてもらえない、そして最終的には評価されないことで、メンタル面に悪影響が出てしまうケースも少なくありません。
すると、モチベーションが低下するだけでなく、「テレワークうつ」になる可能性もあるため、注意が必要です。
4.テレワークうつって何?
テレワークの導入とともに、「テレワークうつ」が問題となっています。
テレワークうつとは、テレワークによって生じるストレスが原因でうつ病のような症状が出ることです。
テレワークうつの症状として、主に以下の点が挙げられます。
【テレワークうつの症状】
● 孤独を感じる
● 生活リズムが崩れる
● 組織に不満を抱く
テレワークうつでは、精神症状だけでなく頭痛・発熱・食欲不振などの体調不良も見られます。テレワークうつにならないためにも、原因を知って対策を講じることが大切です。
孤独を感じる
テレワークうつの原因として多いのが、一人で仕事を行うことにより孤独を感じやすいことです。
出社しない、あるいは出社回数が減ることにより、一日中外出しない、誰とも話さないというケースも少なくありません。特に一人暮らしの方だと話し相手がおらずコミュニケーション不足になりがちです。寂しさや孤独感を生むだけでなく、ストレスを誰にも話せず、抱え込む状態になってしまいかねません。
改善に向け、従業員は仕事環境を見直し、オンオフの時間を意識してリフレッシュ時間を確保することを意識してみてください。
企業側としては、オンラインで交流の機会を用意する、定期的な出社日を定める等対面の機会を作る等により独りで抱え込ませないようコミュニケーションの機会を増やすことが大切です。
また、外の新鮮な空気を吸い、日光に当たることもテレワークうつを防ぐために有効です。朝決まった時間にカーテンを開けて日差しを浴びるだけでも良いので、外の空気に触れることをおすすめします。
生活リズムが乱れる
勤務時間定められていないテレワークの場合、夜遅くまで仕事をしてしまうことで生活リズムが乱れてしまうケースがあります。
終業時刻が遅くなることで体内時計が狂ってしまい、なかなか寝付けず眠りが浅くなってしまいます。翌朝も眠った気がせず、日中に眠くなって仕事が進まないという悪循環に陥りかねません。
また、常にパソコンを開いている状態が続くと、仕事のことが気になってしまいオンオフの切り替えができなくなってしまいます。
生活リズムが乱れてしまうと身体のだるさなど不調を引き起こし、ひいてはメンタル面の不調に繋がるケースは多いです。そのため、従業員が自ら規則正しい生活を心がけることはもちろん、企業側も社員の勤怠管理体制を整え、長時間労働や深夜労働が頻発していないかチェック体制を整えることが大切です。
組織に不満を抱きやすい
テレワークの場合、上司に直接働いている姿を見てもらう機会が減るため、プロセスを見てもらえず、結果・成果だけで評価されがちです。
プロセスを見てもらえないといくら頑張っても評価されないと感じてしまい、メンタル面で悪影響が出てしまうケースも少なくありません。モチベーションの低下がテレワークうつを招いてしまう原因になることもありますので、評価体制の見直しなど企業側に求められることも多いでしょう。
5.まとめ
今回は、テレワークについて詳しくご紹介しました。前述のとおり、メリットもあればデメリットもありますが、社会の変化の中で企業としての在り方を見直し続けなければいけません。
ただ、実際にテレワークを導入するためには多くの準備が必要です。
環境を正しく整えずにテレワークを開始すると、仕事が効率的に回らなくなるリスクもあり、テレワーク導入に際し何をするべきなのか悩まれるご担当者様も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、クロス・ヘッドのテレワークソリューションです。AWS Workspacesの活用でテレワーク環境をスピーディに構築します。勤怠管理が懸念される場合は、奉行シリーズの導入をサポート致しします。
テレワークの導入を悩まれている企業の方は、お気軽に弊社までお問い合わせください。
クロス・ヘッド関連サービス
※Cloud Compassはクロス・ヘッド㈱が運営するクラウドサービスです。